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オムニチャネルの世界で勝ち抜くためのデータ活用法

消費者にとって、オンラインでも店舗でも、時間や場所にとらわれない買い物が、かつてないほど容易になりました。今日のショッピング環境は、ブランドにとって成長の展望をもたらすだけでなく、2つの重要な課題を抱えています。つまり消費者といかにして一貫性をもってつながるのか、そして、さまざまな環境におけるパフォーマンスの全体像をいかにして把握するかです。

 

当記事では、マーケターがファーストパーティデータをどのように有効活用し、オムニチャネルの世界でどのように測定戦略を見直すべきかを探ります。

 

ファーストパーティデータに投資して、カスタマーエクスペリエンスを向上させる

 

パネルデータ、小売店データ、メディアパフォーマンスデータやウェブサイト分析など、ブランドが利用できるデータソースの量、マーケティングチャネル、多様性が急激に増加するなか、マーケターが負担を感じるのは当然のことです。

 

さらに、サードパーティCookieの非推奨化、より厳格化したプライバシー保護法の施行、デジタルプラットフォームにおけるユーザーデータ共有の制限強化などを考慮すると、どのデータソースが今後残るのか、その結果、どこに努力と投資を向けるべきかを理解するのは難しいかもしれません。

  

このように変化する状況の中で、マーケターが最も信頼できるのは、自社のファーストパーティデータ (消費者から直接、明確な同意を得て収集したデータ)にある、マーケティング戦略を促進し、カスタマーエクスペリエンスを強化するための長期的な有用性です。このような背景から、現在あらゆる業界で、組織のデータ成熟度に関係なく、ファーストパーティデータの収集と活用が急がれているのです。

 

オムニチャネルマーケティング戦略において、ファーストパーティデータの使用を検討する際には、以下に挙げる3つの指針に沿うとよいでしょう。

 

1. 消費者から考える 消費者がいつ、どのように、どれくらいの頻度で自社のブランドや商品と接触しているか、カスタマージャーニーマップの明確な策定が重要です。デジタル以外のタッチポイントを見逃さず、小売、包装、パートナー、共同マーケティングなど、メディア以外も視野に入れることで、オムニチャネルの顧客エンゲージメントを構築できます。

 

2. 効果的なデータ所得方法を考える 以下の2点を考慮することが重要

- スマート・メッセージング:消費者は、個人情報の提供により得られる価値だけでなく、自身のデータに対して保持している権利についても直ちに理解する必要があります。カスタマージャーニーに応じたアプローチが必要ですが、ブランドのポジショニングと価値観との一貫性を保つことも重要です。

- 技術的実装:データ取得からCRM統合、メディアアクティベーションまでの円滑なプロセスは、価値提供の鍵であり続けます。多くのテクノロジープロバイダーは、SalesforceやAdobeなどの企業が提供するエンタープライズCRMソリューションから、小規模で俊敏なD2C CRMプロバイダーまで、あらゆるタイプのニーズとリソースに対応可能です。

  

3. 強化、セグメント化、反復

- 適切なパートナーとの連携により、ファーストパーティデータは、さまざまな補完的データセットを用いて強化できます。小売パートナーは複雑な消費者行動の理解に貢献し、メディアパートナーはオーディエンスの行動についてより深いインサイトを提供してくれます。そして、エージェンシーパートナーはパネルやデータパートナーシップを通じて、オーディエンスについてより広く、より社会的な視点をもたらしてくれます。これがオムニチャネルデータの構築に役立ちます。

- CRMのセグメント化は、魅力的なカスタマーエクスペリエンスを設計するうえで最も重要なステップの1つです。マーケティングチームは、データアナリストやビジネスアナリストと協力して、顧客がカスタマージャーニーの中でどのように動き、どのような要因が影響を及ぼしているかを徹底的に理解する必要があります。 

 - このプロセスを毎年繰り返せば、消費者行動、データ戦略、パフォーマンス計測を常に把握できます。

 

今日、消費者は自分の意思で買い物をしたいと考えており、ファーストパーティデータを活用した体験の設計・活性化が、消費者にパーソナライゼーションと利便性をもたらします。ファーストパーティデータは、スムーズ、かつ調和のとれたカスタマーエクスペリエンスを生み出し、ひいてはブランドの収益向上につながります。

 

オムニチャネル時代に向けた測定戦略の見直し

 

COVID-19の大流行により、消費者の購買行動が一変し、ブランドのオンライン・ツー・オフラインのコマース戦略が大きく加速されました。しかし、多くのブランドが、オムニチャネルな測定戦略に切り替える最善方法を見出すことに苦戦しています。

 

オムニチャネル測定戦略への移行に際し、私から2つの重要な検討事項に注目することを推奨します。

 

文化と構造 オムニチャネルの時代では、効果的な測定と属性分析のために、以下のような連携が不可欠です。

- 透明性の高い管理体制:社内および社外(小売業者やエージェンシーなど)で強固な管理体制を確立することが基盤となります。効率的な連携を可能にするには共通の作業方法、強力な業務プロセス、明白な責任体制が必要になります。

- テクノロジーの連携:メディア、ビジネス、オーディエンス、販売データのオムニチャネルビューを実現するには、メディア、クリエイティブ、カスタマーエクスペリエンスにまたがるテクノロジーの連携が重要です。そのためには、アジリティ (機敏性)、アカウンタビリティ (説明責任)、クオリティ (品質) の適切なバランスの見極めが求められます。

テクノロジーとインフラ これは事業ごとの状況によって異なりますが、オムニチャネル測定を可能にするテクノロジーのインフラを構築する場合、一般的に2つの主要な検討事項があります。

- 自動化とAI (人工知能):データソースの量が急増するなか、オムニチャネル計測を管理・拡大するためには、自動化とAIの活用が必要です。

- 複数段階の測定スピード:オムニチャネルの測定は、日々の業務に支障をきたしてはなりません。そのため、各チャネルを適切なタイミングで測定し、短期的にも長期的にも正確さを保つために、さまざまな測定フレームワークが必要です。

 

オムニチャネルの時代で消費者の顧客生涯価値向上を目指すブランドにとって、確固たるファーストパーティデータ戦略を設計し、実用的な測定フレームワークを開発することは、現在そして今後を制するための重要な要素となっています。

 

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当記事は、dentsu media、グローバル・コマース・ディレクターのDamien Lemaitreが執筆し、日本語に翻訳したものです。